たかぼんのAI小説&イラスト

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はじまりはいつも君と story 2「クラゲの声」

その時が、泉咲良と高橋陸を襲ったのは、天空の星々が夜空を彩る冬の寒い季節だった。

「で…なんで今、俺、ここに居るんだ?」陸が不満そうな表情を浮かべて、青白く美しく光る水槽をじっと見つめる咲良に言った。
「ん~なんでだろう…エレクトラが陸に会いたいって言ったから?」
エレクトラとは咲良が大事に育てている電気クラゲのことだ。
「そんな訳ないだろ…」
「そんな訳あるよ?だってエレクトラがそう言ってるんだもん。ねーエレクトラ!」水槽の中には青白い光を放つ電気クラゲが、咲良とまるで対話をしているように優雅に泳いでいる。
「あのなー咲良…電気クラゲオタクもほどほどにしろよ…電気クラゲが言葉を発することなんてないだろ」
「ん~陸はわかってないね…同じ命を持つ生物なんだよ。お互いのことを信じて理解しようと歩み寄れば、言葉なんか違ってもわかりあえるものなんだよ」
「…まぁいい…咲良はそれでいいと思う…」陸は不機嫌な表情ではあるが、咲良の顔を見て、満足そうに頷いている。

「一緒にいてほしいの…ん?あれ…」咲良の顔が急に赤く染まっていく。
「ぁ・違うの!エレクトラがそう言ってるの!!私の気持ちじゃないのよ!」咲良が焦ったような表情で両手をブンブンと交差に振りながらそう言った。
陸は咲良より歳が一つ上の18歳だが、父を幼いころに亡くした咲良の父親兼兄のような存在で、咲良をずっと支えてきたのだ。
「そ・そうか…」なぜか陸の顔も真っ赤になっている。
「夜中に急に呼び出されて、来てみれば用事なしかよ…まったく…」陸は頬杖をつき、ため息を吐いた。

その時だった。
ドン!という衝撃音が鳴り響き、空気が揺れ動いた気配を感じた。
「なんだ?」陸は立ち上がり、窓から外を覗き見る。
「咲良、こっちに来てみろ!」
「どうしたの?」咲良が陸の隣に歩み寄り、空を見た。
「わぁ!!綺麗!!」
外は夜の闇に包まれていたが、空には虹色の光がカーテンのように広がっていた。その光は静かに揺れ、まるで天の川が色を変えたようだった。
光の帯はまるで絹の布が風にたなびくように、滑らかに、そして優雅に広がり始めた。赤、緑、青、紫…さまざまな色が交じり合い、空全体を幻想的な舞台へと変えていく。
「オーロラみたいだね!!」咲良ははしゃぐような声で陸に話しかけるが、陸の表情は硬い。
「オーロラなんて規模じゃないぞ。咲良、オーロラはなんで発生するか知ってるか?」
「ん~知らない」
「オーロラは簡単に言うと太陽風と呼ばれる電粒子が地球の磁気圏に衝突して起こるんだ。」
「うん!全然わからない!!」咲良は胸を張ってそう答える。
「これはやばいかもしれない、地球の磁場や重力に影響がでるかもしれない」陸がそのように言った瞬間だった。

キーンという耳鳴りと共に、フワっと身体が浮き上がる。
「ええええええ!」咲良が叫んだ。
「咲良つかまれ!!」陸は窓から外に飛ばされようとしている咲良の手を掴み、窓枠にしっかりとしがみついた。
「うぅぅぅ、苦しい…」咲良が苦しそうに必死に呼吸をしている。
「やばい、酸素濃度が急激に低下している!磁場の急激な変化の影響だ。」陸も苦悶の表情をしている。

 

だいじょうぶだよ…ぼくがまもってあげる…

 

咲良の頭の中に不思議な声が響く。
パリンという、皿の割れたような音がした。そして咲良と陸の周りに青色の光が現れた。その瞬間、息も普段通りできるようになり、重力も元に戻った。急に重力が戻ったので、咲良が窓から落ちそうになったが、陸が必死に引き戻した。
「どういうことだ…」陸が、自分たちの周りを取り巻く青い光を見ている。
エレクトラだよ!エレクトラが私たちを守ってくれたんだよ!」咲良が水槽に走り寄る。水槽の中の電気クラゲは、何もなかったように美しい光を発しながら優雅に水の中を漂っている。
「そういうことだったんだね!エレクトラは危険なことが起きるって知ってたんだ!だから陸をここに呼ばせて私たちを守ってくれたんだね!」

 

うん、そうだよ

 

また咲良の頭の中に声が響く。
「ぉお!エレクトラの声が聞こえる!!」
「おい…大丈夫か…精神錯乱をおこしてるのか?」陸が咲良の後ろから心配そうに声をかける。
「ほんとだもん!嘘じゃない!エレクトラが私に話しかけてくれてるの!」
「今までの意思が分かりあえてるっていうのと違うのか?」
「うん!違う!ほんとに声が聞こえるの!」咲良は興奮していた。
「うーん」陸は腕を組んで考え込む。
「もしかしたら、さっきの磁場や重力変動に影響を受けて進化したのか?」
「やったーーーエレクトラ!お話しできるようになったんだね!!」咲良は嬉しそうだ。
「いやいや…そんな簡単なことじゃないと思うぞ…まぁ声も電気信号だからな、電気クラゲが電気信号を咲良の脳に直接送っているということも考えられるけど…」
エレクトラありがとね!!」咲良はにっこりと微笑んで水槽の中の電気クラゲに話しかける。
「助けてくれたのだというのなら、自分も感謝する。エレクトラありがとう。」
エレクトラはその言葉に答えるかのように、発光した。
「しかし、こんなことしてる場合じゃないようだぞ。」
街は暗闇だった。街灯や家々の灯りも消えている。普段なら、他の家から漏れ聞こえるテレビの音などもなく、不気味な静寂に包まれている。
陸は、テレビをつけようとしたが、だめだった。
「さっきの電磁波の影響を受けたんだろう。電化製品は全部だめだな。」
「陸…どうしよう…」咲良は不安そうな表情で陸をみつめる。
「とにかく、外へ出て状況を確認したほうが良さそうだな」
「うん、わかった!」咲良は急いで準備にかかった。大きめの革製のポシェットを腰に巻き付けると、慣れた手つきでエレクトラをその中に入れた。
エレクトラも連れていくのか?」
「もちろんだよ!これエレクトラとお出かけするときに使う特製のポシェット!海水が入ってるんだ!手作りだよ!すごいだろー」咲良は自慢げに胸を反らした。
「電気クラゲオタクもそこまでいくと尊敬に値するよ」陸は呆れ顔だ。



先ほどまで、咲良と陸を包んでいた青い光も今は消えている。電磁波による急な気圧の変化も治まったのだろう。
「よし、行こう!」
「うん!」

陸が差し伸べた手を咲良がしっかりと掴んだ。